AM7時、無事に京都を出発し、関空へと向かいます。
フライトは、11時20分。
AM9時、関西空港着。
荷物は一個23kgの規定に従い、
小さな茶色のスーツケースと、バシールの大事なジャンベを一緒に括り付け、
2個を一個の荷物にします。計23,5kg。
さて、バシールはフランスを旅立ったとき、カマレンゴニを機内に入れ、
無事4月1日に成田空港に着きました。
何度も、何度もこうして機内に楽器を入れてもらい、
海外で演奏をこなしているミュージシャンです。
AM9時40分、チェックインカウンターにて、
エ「お荷物は規定の長さを超えるため、機内には持ち込めません」
バ「フランスからの飛行機では可能でした」
エ「本日は満席なので無理です」
幾度と、私はこの光景を目にしたことか、
トルコでは楽器を裸にして機内に、
韓国ではコックピットに楽器を、
アメリカではペダルの検査に一時間…
バ「パイロットと話をさせて下さい」
エ「それはできません、この状況での責任者とお話しください」
バシールの限りない努力、説明、経験。
そして、
関西空港エールフランス責任者、伊藤氏によるこの言葉。
「Je veux pas parler avec vous」 「私はあなたと話をしたくありません」
10時20分、搭乗時間20分前にして、カウンターでのこの押問答に決着をつけるべく、
ひとつの賭けに出た。
その結果、エールフランスの職員は、なんと通訳担当の女性を使い、
セキュリティチェックまで全速力で走らせ、
「その男性を捕まえてください」
AM10時40分、既に搭乗時間になる。
この時点でもまだ、
エ「本日は満席なのでお手荷物は入れる事ができません」
しかし、
しかしです、実は一席空いているのです。
なぜなら私はバシールと同じ飛行機に乗るチケットを破棄したのですから。
そしてセキュリティチェックでの検査官に取り囲まれるバシール、
私の後ろには日本人の、やはり同じ飛行機に乗るであろう女性が、
「もし私たちで何かあの方の手荷物を持って行けるなら、お手伝いしますが。」
この瞬間、完全に私の琴線が、いや緊線が切れたのです。
エールフランスの職員に叫び訴え、訴え、
なぜヒューマニティーが通じないこの状況になってしまうのか、
理不尽、そして、全てはお金でしか解決できない現状をバシールが感じた時、
「僕は楽器を置いて行きます、そして飛行機に僕だけ、乗ります」
と決断。
ミュージシャンが、特にアフリカのミュージシャンが自分の楽器と
一緒に飛行機に乗らないという決断の重さ…
あんなに素晴らしい演奏で、9日間のツアーを乗り切った彼への、
日本人からの贈り物は、 »愚弄 » でした。
瓢箪と山羊の皮でできた、
長さ138cm、幅45cm、重さ約5kgの楽器を、
私はなんとしてでも彼の元に持って帰らなければなりません。
彼の演奏を待つ人々がパリにいるのですから。
どうか、どなたか、この1週間の間に、
パリ行き、ビジネスクラス(エコノミーでは同じ問題の繰り返し)に搭乗する
知人ご友人がいれば、ご一報ください。
openmusic.jp@gmail.com
お金もない、コネもない、個人招聘の不甲斐ない私を、
バシール、許して下さい。