Archive pour 書き物 writing

ロバを愛してしまったのです

その象徴とはなんでしょうか。
色々ありますね。
その意味すべてを含んだ、ロバを愛しているのです。

でも、やはり一番最初に愛した理由は、一人旅を始めた10代、航空チケットを購入した「ろばのみみ舎」という旅行会社によるものだったと思います。
スペインを主に取り扱ったその会社は、池袋の住宅街にあり、一軒家。
お花見会にも呼んでいただき、へたっぴなサックスを奏でたこともあったかな。

当時ご在命のオーナーが撮影したロバの写真の数々が強烈に印象に残っています。
そして、旅をするとそこにはロバがいた。

夢はいつかロバを飼うこと。
しかし、彼らは一頭では生きられないのですね…
そんなこんなの話は山とあり、いつかロバにまつわる旅本なんてのもいいかもしれません。

先日ある友人からは、メキシコでのロバとの邂逅写真が送られてきました。
ロバと一緒に写ったなんと愛らしい女性の姿。その友人の、将来の伴侶となったそうな。

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「旅する音楽」の表紙を飾ったブルターニュのロバ、その名を”ニャンニャン”

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夜を震わすバーバラ・ハニガン

openradio No.168で選曲したバーバラ・ハニガンの作品。
澄明な眩しさの中にある吐息。そんな音楽への憧景。
まさに、音楽に選ばれし者の、声。

note上の「勝手にレビュー」でもご紹介しています。

Digital Booklet - Erik Satie_ Socrate

どこまでも響く声聞く晩夏かな

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Garden Of Love’s Sleep

note上の「勝手にレビュー」はopenradio No.167でご紹介したメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」です。
こういった音楽をCDで聞く世界から現実の演奏会で聴ける日が来ることを切に、願う。

人生とは庭の上に広がる空を見逃す花に戯れる幻想だ。

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とはいっても庭最後のバラを愛でる性よ

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そして、物語が生まれる

モザンビーク、コロンビア、アフガニスタン、ポルトガル、インドネシア、マリ…
一つの核=自己同一性をもっている男は失業中。しかし地雷除去の任務10年目にして、血はつながっていない息子とフランスの海辺で、すべてを回想する夏の時間。
その男と息子の肌の色は、今は語らないでおこう。
ただ、男はフランス語を、息子はポルトガル語を母国語とする、とだけ。

物語はリアリティの質感をもって語られる、ではその質感とはどんな手法か。

色と音でやってみたい。
言葉ではなく。

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バングラディッシュ・ダッカ

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ギリシャ・レスボス島のモリア難民キャンプのあるバス停
photo:渋谷敦志 「Carpe Diem」より

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まずは地図を開いて、オリエンテーション

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ボルタンスキー

あの風鈴の、あの命は消えてしまったのか。
あの宇宙感的空間をわたしたちはもう過去のものとしてしか感知できない。
主役はもういない。
さて、次元を彷徨うアートいう名の空気を探すのか、あるいは今を震わす空気の中に、かすかな息遣いを聞き取るのか。
合掌。 

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2020 at Paris

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アニミタス

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ポンピドゥー美術館での会期中、ブティックではなんと「さざめく亡霊たち」が販売されていた。
小林康夫さん、関口涼子さんの寄稿に納得。

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ボルタンスキー記憶を残し夏に消ゆ

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「勝手にレビュー」はじめました

それでなくても遅筆で原稿催促で訴えられてもおかしくない状態なのに…noteというサイトにて、openradioでご紹介する音楽作品を言葉で綴ることを始めてみました。
「勝手にレビュー」
こういった作業を生業にしている先輩たちを横目に、自由気ままに音楽の紹介を連ねていこうと思います。
どうぞ、ご贔屓のほど。

2021年7月の新月のopenradioのテーマは-ジャズへの道-

それは息使い、空間の響き、感応する音の働き…すべての生きるへの賛美、尊愛。
コルトレーンのGiant Stepsを歌で、スイカズラの甘美を音楽に、ドキュメンタリー番組”アメリカ抽象美術とモネの晩年 »のサウンドトラック、Sax & エフェクターの醍醐味、イタリアの、声。

01) Giant Steps (Meredith d’Amboisio)
02) Honysacle rose (NAtO)
03) Nymphéas et voix et timbre (Yann Pittard)
04) Connected II (Paul Pankert)
05) ’Na stella (Gianmaria Testa)

ご試聴はmixcloudから

noteサイトの「勝手にレビュー」はこちらから

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ベルギーの音楽家Paul Pankertの新作CD/LP Connected

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代々木能舞台-高野山金剛峰寺

openradio No.153の放送のintroductionは、わたしもその物語に魅了されつづけている陰陽師をテーマにした、ジャズピアニスト・スガダイローさんの演奏から。

思えば小田原でKyの演奏を聴きにこられた作家の夢枕獏さんに、「フランスで陰陽師の講演会をしてみませんか」とお誘いしたのがことの始まり。
作家自身が産み出した物語を読み、そして楽師が音を奏でる。
パリで、日本で、朗読コンサートが行われたのです。

最初に選んだ場所は、代々木能舞台。
あの空間で言葉と音が響く瞬間を聴きたかった。
その後東京のジャズクラブ、あるいは空海が開創した高野山の金剛峰寺で、1200年目予祝として100年に一度の年に100人以上の方が全国から聴きに来てくださった。
100年前は自動車で高野山に来る人々はいなかっただろう。
それぞれの道中それがすでに音と言葉、そしてこの地との逢瀬となる旅。

わたしが陰陽師に魅せられ、書評として書いたものは文藝春愁のwebサイト「本の話」で読むことができます。
https://books.bunshun.jp/articles/-/1507

4月清明下弦のopenradioはこちらからご試聴いただけます。
hhttps://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-no153-20210404-waning-moon/

00) 蝉丸 (スガダイロー)
01) 龍神祭 (スガダイロー)
02) 歌の庭 (Bala Dee)
03) Striving After Wind (Brad Mehldau)
04) April in Portugal (Janet Seidel)
05) O Ephraim (Brad Mehldau)

07.高野山:夢枕獏+Ky
この日はちょうど山王院竪精の日でもあり、朗読コンサートの参加者たちは山王院へ向かう僧侶たちを送り、金剛峰寺内へと移動した。
この儀式は夕方から翌朝4時まで続いたそうだ。

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秩父・武甲山と藤原岳ー紀州の果て熊野に至る

あまりにも遠い遠い地である秩父になぜ親近感をもつかというと、それは父が学生時代によく秩父の山々に登っていたことに由来する。
あの時代だから、国鉄熊谷経由で何時間もかけて秩父谷にたどり着いたことだろう。

今は彼にとって過去の人となったわたしの母は、わたしがネパールのポカラの山々を歩き、ヒマラヤを眺めていた時、彼女は雲取岳を登っていた。
まったく違う場所でしかし山の高さの次元は同じだったかもしれない彼女との、携帯電話という文明の利器によって会話をした、ヒマラヤ山脈あの景色をはっきりと覚えている。距離の、幻覚的感覚を覚えている。

さて、二度の離婚、死別を経て今父は四日市に住んでいる。
鈴鹿山脈北の極には藤原岳がある。
規模は違えど武甲山と同じくピラミッド型に切削された無残な山の姿。
当時は小野田セメント、現在は太平洋セメントという会社名。
三岐鉄道(三重+岐阜のハイブリッド的ネーム)自体は人間のためではなく、セメントを運ぶためにひかれた鉄道なのだ。
父の家に行くたびに使う駅舎に、真っ黒のコンテナが堂々と居座るそれを見るたびに暗い気持ちになる。
切符は未だに厚紙でパッチンと駅員が打ってくれます。

地域はセメント産業の恩恵を受けているのだろうか?
秩父同様山景を売りにしたカントリーサイドの豊かな暮らしを売りにしている”いなべ(員弁)市 »のIターンキャンペーンに抜け目がない。
それでも、あの鈴鹿山脈西方の地が生きる術としての行政の意思とそこで生きる人々のことを思うと、批判的な言葉はこれっぽっちも生まれない。

さて、国鉄に乗りそのまま南下すると、伊勢中川、尾鷲、熊野灘を左に新宮、そして熊野にたどり着く。
紀伊半島となるあの雰囲気が、伊勢志摩の山と海を出自にもつわたくし自身にとって、やはり特別な地であることは否めません。

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規模はちがうけれど、切削された藤原岳の姿が日常になってしまうという現実

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セメントの色とこの黒という色の関係性は?罪悪感?

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三岐鉄道ではICカードは使えません。

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同一性土地春迎へ春捨てる

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インタビュー

職業柄インタビューを受けること多々あり。
同様にインタビューをすることもそれ以上にあります。
Ovniというフランスで発行されているフリーペーパーの職業人シリーズでは、どれだけの人々と対面(一日中張り付く)してきたか。
楽しいんですよね。
対相手の核心を探る時間の妙、その瞬間を一気に感知する醍醐味。
文章という平面になり、それがいつか次元を超えて誰か、読み手の心に届く。
被写体的対象となる彼ら自身がインタビューを受けることによって見つける »何か »、その瞬間に立ち会うことになる。
わたしが今までインタビューをしてきた人々、その時間の後の彼らの表情は、いつも颯爽としたものでした。

今回は受ける側として、裸にされた気分ですが、それでも、JazzTokyoの編集長稲岡さんの提案に感謝いたします。
こちらのサイトから→
https://jazztokyo.org/interviews/post-62685/

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朝靄に道標なく生きる春

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La voix d’un poète 詩人の声

あまりにも驚愕、というか当然のことに納得した事例。
それは、ある詩人のインターネットラジオで聞いたその声が、想像通りの音声であったこと。

正直わたしは詩にはあまり興味をもっていません。
北園克衛と若松英輔、Tristan TzaraとCésar Vallejoを除いて。
あ、Michel Leirisもいました。
俳句なんてやっているのにね。
明らかに違うのは、言葉の数。
俳句にひかれるのは、放置プレーなところ。

詩人の声は、その詩とそっくりの声でした。

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来年伊勢でのプロジェクトは、「伊勢へ参らば朝熊を駆けよ、朝熊駆けねば片参り」といわれる朝熊山を郷里とする北園克衛をテーマにした、音と言葉の本。

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若きT.Tzara

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埋火が覚醒させぬ語彙の夢

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献奏そして献盃

小日向の丘には凸版印刷の看板。
昨年演奏した水道端図書館の前にある静謐な寺。
夏目漱石の実父母が眠る墓の前に佇む、ある人の墓石の前で奏でた。
献奏という言葉はあるのだろうか。

人々の言葉を編み、この世に本という形で残した仕事。

漱石は、ある日墓参りをした時こんな句をよんだそうだ。

梅の花不肖なれども梅の花

梅咲き始む頃に逝ってしまった人の冬は今、なぜか早咲きもいいところの水仙がひっそりと咲いていた。
献花としよう。

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旧町名を水道端という。まさか1年後に同じ場所に来ることになるとは。

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本法寺という。

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水仙の白き香りは此処になく

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Perspective 遠くにあって近くにある音

ひょんなきっかけで岩波書店「図書」からお声がけいただき3年。
フランスでの外出禁止令下のこと、旅のこと、そしてなにより音楽のことをテーマに今回は書いてみました。
11月号寄稿のお題は「Perspective 遠くにあって近くにある音」。

本屋さんで無料で入手できるそうです。
原稿を落としてしまったその年は、辰巳芳子さんが連載をされていた、というプレッシャーだったのかもしれません。
https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/4123?fbclid=IwAR3_mNHsQ1fv4jiJ21XFWB9k1Lb4x8TTlBVfs63JGDZJzX3FJZSugwkuBws

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編む言葉秋気の中に消ゆきて

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愛人からお礼として贈られた言葉

全世界津々浦々わたしには愛人がいるのですが、「心の」と付け加えておきましょう。

つい先日、その心の愛人からあるお礼としての返礼それは、ヘッセの一文でした。
長いのですが、書き留めたい次第。

「じつは私の考えでは、音楽について話すことなんか、まったく価値がないんです。
私はけっして音楽について話しません。あなたの賢明な正しいことばについてなんと答えたらよかったでしょう?
あなたのおっしゃることは、いちいちまことにもっともでした。だが、私は楽士であって、学者じゃないんです。
音楽では正しいってことは、一文の値打ちもないと思うんです。
音楽では、正しいとか、趣味や教養やそういったいっさいのものを持つとかいうことは、問題じゃないんです」
「なるほど、それでいったい何が問題なんですか」
「音楽することですよ、ハラーさん、できるだけよく、たくさん、熱心に音楽することですよ!その点ですよ、ムシュー。
たとえ私がバッハとハイドンの全作品を頭に入れて、この上なく気の利いたことを言えたとしても、それで誰の役に立つわけでもありません。
だが、私がサキソフォンをとって、活気のあるシミーを吹けば、シミーが良くっても悪くっても、人々を喜ばせますよ。
みんなの足を浮き立たせ、血をわかせます。それだけが問題ですよ。
かなり長い休憩の後で音楽が再開された瞬間、ダンスホールの人々の顔をよく見てごらんなさい、どんなに目がきらめき、足が小きざみに動き、顔が笑いはじめるか!
そのためにこそ音楽をするんですよ」

ヘルマン・ヘッセ「荒野の狼」

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鬼灯はフランス語で「籠の中の愛」と呼ぶ。

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長野にもギター職人が多々いる。

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晩秋には洋梨。

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いつもわたしのためにごはんを作ってくれる。
チキンの中にはもちろん栗とプティスイス。

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ビンタを喰らう

ある男に、右の頬に平手打ちを喰らった。
やり返す?
わたしはホテルの壁しか殴りません。
人を殴ったことはない。

嫉妬の根源とは、存在の不確かさの表れなのかもしれないです。
その対象となるわたくし自身をもてあます、秋の夜半。

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ぶどうの葉の詰めもの煮

けいそうビブリオフィルでのweb連載17皿は、2年前にシリア難民に教えてもらった葡萄の葉の詰め物煮のレシピです。
ごはんの中にみる同一性。 

難民、彼らは闖入者ではない。

https://keisobiblio.com/2020/09/25/nakanomaki17/?fbclid=IwAR32oSjRqJLHn-OMS5C0_Lv0QmnKTT16fknapC5JSArLAaKv63p5LIOkZHQ

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摘む葉に一枚一枚秋日和

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薄荷水と夏の終わり

8月最後の上弦のまっぷた月の色めかしさ。
2020/8/26のopenradioは台湾の歳時記から少しインスパイアを受けて、選曲してみました。
薄荷ミントは夏の季語なんですって。
2年前の台湾で演奏した際の湿潤を思い出しながら、薄荷水に晩夏を眺めながら…

Mixcloudからご試聴いただけます。
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio2020826-waxing-moon/

01) We are all lonely souls (蘇珮卿 Paige Su)
02) The Horse Thief (陳穎達 Ying-Da Chen)
03) Vaguely Asian (John Taylor)
04) Onirou (Eleusis)
05) 喝酒不好 (Leo王)

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中庭の静寂に浸る薄荷水(麻紀)

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三尺の空を匂はす薄荷伸ぶ (楊海端)

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残暑をささえる滋養

辰巳芳子さんにより知ることとなった、日本人にとってのだしの存在。
今夏の厳しさに沁み入る滋養ではないでしょうか。

茶碗蒸しをひんやり冷やしてもよし、だし巻き卵のだし汁あふれる旨さ。
ベンガルのミュージシャンから教わったカレー。
アイスを食べた夏の体をターメリックが休ませてくれる。
友人の庭の実りを頂戴。

夏バテになる前に、鰻。
理にかなった残暑の滋養となります。

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ほっくりと出汁巻き卵夏の宵

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今年最後のグリーンピースをいただいて。パスタに出汁を少しだけ足す隠し味。

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夏野菜のカレーはめんどうでも茄子を揚げると旨味が増します。
ベンガルの吟遊詩人Pabanから教えてもらったカレーのレシピはこちらに連載。
https://keisobiblio.com/2019/08/01/nakanomaki11/

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猛暑の中の収穫

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―民衆の音、贄を海辺で燃やす―

ー生きるために死を飼いならす。

けいそうビブリオフィル連載16皿目のレシピは、カリブ海の島々で食べるアクラです。
干鱈の揚げものアクラを知ることによって見えてくる黒い大西洋の歴史。

大西洋、海流、風、人間の移動、奴隷、塩、魚….民衆が海辺で燃やす贄。
エメ・セゼールの詩と共に、実体験としてのカーニバルでのトランスするあの音が届きますように。

掲載サイトはこちらから→
https://keisobiblio.com/2020/08/19/nakanomaki16/
サン=バルテレミー島 干鱈の揚げものアクラ
―民衆の音、贄を海辺で燃やす―

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トランスに汗滴りて音の渦

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豊穣なローカリズムへ

800人が住むブルターニュのとある村。
そこに生きる人々のインタビューを長らくしてきました。

この地に残るケルト文化のひとつである妖精=精霊コリガンは、
森の中にいるといいます。
夏の森ではコリガンに出会うことはできません。
ケルトの暦では11月1日を1年の始まりとし、霧深き、森深きにある石を住処にする精霊たちが現れる。

ローカルに生きるすべては、今全世界それぞれの地で生きる人々の、その慎ましやかな生きる営みの中にあります。

農文協からでている内山節さんの著書、
昼間賢さんによる「ローカルミュージック」(インスクリプト出版)、
農業漁業を命の基とする友人たちの姿。
すべてはバイブル。
実のところ伊勢志摩の亡き祖父のミカン畑で働く、あるいは畳の上に書籍を開いて勉強研究し、深沢七郎を愛読する姿に、ローカリズムの核をみるようでもあります。
内部へ、内部へ掘り探るその行為こそが、生きる実践である。

ローカルという地に生きる人々の底力。
これまでも、そしてこれからも、それにまさるものはありません。

内からの世界の声に、耳を傾けることができるならば、あるいは少しの平衡的感覚を携えそれを寛容と呼ぶことができるならば、
目の前にある世界の絶望へも、少しだけ微笑むことができると思うのです。
=conviviality 共歓。

さて、これから生きる場所はどこに向かおうとしているのでしょうか。
人生の欠片としてあったブルターニュという地は、それでもわたしにとっての故郷と呼べるのかもしれません。

故郷喪失とは世界が故郷であるという転換的発想を味方にすることです。

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過去の取材の一部はフランスのフリー新聞OVNIの記事になっています。

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カキ養殖業者ジョエルさん https://ovninavi.com/756sp/

ブルターニュ:4牛
酪農家、ガエタンさん   https://ovninavi.com/729sp/
煙突掃除夫 エロワンさん 
https://ovninavi.com/ramoneur/
 

  

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新疆ウイグル自治区ー福島

一見何の関係もなさそうなこの二つの土地、わたしにとってはある連帯の地です。
けいそうビブリオフィル連載15皿目はウイグルに伝わる羊肉でつくるパイーゴシュナンーです。
写真の中にある白、それは光でも影でもない、その地に生きる人々の息。
そして、わたしたちの息でもある、という想像の先に、連帯がある。

「災難の渦に巻き込まれ 逢瀬の宝石を探せなかった 
あふれ出る涙の一滴一滴が 海になる」

          『ウイグル十二ムカーム』(集広舎)

連載レシピはこちらから
https://keisobiblio.com/2020/07/21/nakanomaki15/

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再現版ゴシュナン

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ウイグルの、美しき姉妹が作ってくれたゴシュナン

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ウイグルの人々のDNAを刷印した写真集Lineageは300部限定
photo by Tony

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深夜バスを乗り継いで通った福島・飯館村の、あの日…

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軍用地とアートの交差

一人野外で吹くことはあっても、ライブという形での演奏は何ヶ月ぶりでしょうか。
目の前で、音楽に合わせ踊る人々をみていたら、このエネルギーの交換こそが、やはり演奏をするということなのだと感じるのです。
急遽お声がかかり演奏したその場所とは、元々軍の領地で、軍人のための運動施設だったといいます。
市に払い下げされ、市からアソシエーションに有効利用ということで、非営利のアートスペースとなったそうです。
隣の建物は歴史的な趣のまま、今では写真専門ギャラリーとなっており、 交差するはずのない、軍隊とアートの摩訶不思議な空間に。
ここでも新たなプロジェクトが生まれそうな、予感。

来場者はまるでカフェにでもくるように入場無料。
演奏家のギャラは来場する人々の飲み物代の %+シャポー(フランス語で帽子を回すという意味=各人自発的課金)。
環境問題を念頭に入れた作品、飲み物はローカルものだけを、そしてトイレや衛生面の循環システム。
人々の交差の場として市からの助成、そして飲食の売り上げで成り立っているそうです。

この空間に、子供たちが共にいるということが、社会の一歩だと思うのです。

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この時勢、いつ演奏のオファーがきても準備万全でいることが必須となります。

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この道具はなんという名前でしょうか

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ペットボトルでつくられたオブジェ、捨てられる寸前だったベビーフット

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短夜やヴァカンスの影見えぬまま

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音楽雑誌ラティーナ最終号

生まれてはじめてCDガイド評というものを書いてみました。
今までライナーノート、書評、インタビュー、はたまたレストラン記事、フランスに働く職人を取材し文章にしてきましたが、今回は短いながらとても難しい作業であったことをお伝えします。
それはひとつにわたくし自身がこの作品に参加しているからかもしれません。
演奏者の命の一滴は様々な人の手を介して、今日わたしたちに届く音楽となる。
空間に満ち満ちる音の粒。
聴く者の心骨奥深くに沁み入り、この世の果敢なさを放つギター一本の音。

(余談ですが、フランス語で沁み入る=Pénétrerという動詞はセンシュアル Sensualな用語としても使われますね。)

是非お聴きいただけますように。

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ギター奏者・笹久保伸 29枚目の最新アルバム Perspectivism

https://http://www.ahora-tyo.com/detail/item.php?iid=18653/
ご本人へ直接の注文をお勧めします。sasakubox@gmail.com

音楽雑誌ラティーナは、パリに渡ってからも長く読ませていただきました。
なぜ日本の雑誌をフランスで読めたのでしょうか。
それは、エスパスジャポンという40年に渡る文化センターの図書館に寄贈されていたからです。
恵比寿のあの事務所から、毎月パリに届く冊子。
紙媒体は最終号になりますが、これからはweb上で、益々興味深い音楽の世界を教えてくださることと思います。
関係者の皆様、まずはこの節目、ありがとうございました。

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パリでの録音は3区にあるアーティストギルドの地下スタジオにて。

触るる音震へては消へ火照らせぬ

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国に生きる、歴史に生きる

異国に生きる者を、生きるその土地の歴史はいつの日か内包するだろうか。
アイデンティティーと出自は往々にセットになっています。
古今このかた移動という方法で生き存えてきた私たちは、アイデンティティーというものが時間軸、あるいは土地土地でアップデートされることを必要とし、
また享受してきました。
そして、少しの変容と共にあるこのアイデンティティーは、出自という記憶と呼応し、命に一層の深みを与えてくれる。

今回のけいそうビルリオフィルの連載「ごはんを作る場所には音楽が鳴っていた」では、オスマン帝国という広汎な土地の中で生きてきた人々に伝わる、キョフタという肉団子です。
肉団子という系譜はスパイスにより展開されるもので、
人類の手と舌の好奇心によって今わたしたちが日常的に食べるものになっています。
ハンバーガーだって、その系譜にはいりますね。

それでは、今手の内にある時間の中で、手でこねて作るという作業をお楽しみください。

オスマン帝国の肉団子・キョフタ -国に生きる、歴史に生きる-
https://keisobiblio.com/2020/04/08/nakanomaki14/

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手の中に生まれる命春時雨

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誰が世界を翻訳するのか

これは2005年に人文書院から上梓された真島一郎さんによる編著のタイトル。
そして、金沢21世紀美術館での展覧会のタイトルでもあります。

 観察、他者、遠近の眼差し…
レリスが試したように、レヴィ=ストロースが神話論理という方法で思考を実践したように。
生きる実践の中で、ミクロの世界をマクロと同等に、いやそれ以前の一体となり響きあうポリの世界を、僅かな変容にも繊細な気を使いながら他者を観察した先達。
ここでは言語の問題が必ず付きまとう。
「神話は、けっして自身の言語に属しているのではなく、他なる言語への一つのパースペクティブなのである…」

では言語を同じにする場合の観察とはどうだろう。
都市の者が辺境に向かうという偏差はあるにせよ、その言語的一体感が観察者に類としての原動力を付加する。
観察者として切り取って見せる写真や言葉が何か身体の奥に響くものであるようなのは、その眼差しの根ざす場所が己にも通底していることを教えられるから。例えば、岡本太郎であり、宮本常一なのかもしれない。
外からでなく、中からの観察に挑むという実践をする者に、わたしは憧れる。

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神話論理を制覇した後に生まれる考察の愛情深さ。

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と同時に想起したのは、ボルタンスキーの展覧会 Faire Son temps (英題:Life Time)

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会場自体がひとつのインスタレーション空間に。この空間にいる他者とはだれなのか。

みすず書房からの新訳版「人種と歴史」(L=Strausse)

https://www.msz.co.jp/book/detail/08850.html

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今秋上梓されたできたてほやほや「われらみな食人種」(泉克典訳)

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平凡社ライブラリー入りした2009年の傑作
「闘うレヴィ=ストロース」(渡辺公三著)

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アルバニア、物語をきくという行為

けいそうビブリオフィル9月の連載レシピは、最近よく演奏するようになった、
アルバニアのクラリネット奏者がおしえてくれる、ブリク。
内容はこちらから読んでいただくとして…
https://keisobiblio.com/2019/09/29/nakanomaki12/
どの見解が正しいのか、第三者、メディアを通じてのジャッジにゆだねている現状をよくみますが、ジャッジは必要なく、当事者の物語にどれだけ耳を傾けることができるか、が目下の必要事項。
かたいことはさておき、 秋の夜長、うまいブリクを作ってみましょうか。

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蕎麦の花、曼珠沙華、秋満載の季節の中に、高き香りが漂いはじめました。

旅立ちは別れの予感金木犀

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