白き春 le printemps blanc
丸み、深み、温かみ。
朧に、境界に、空気を包む。
黒田泰蔵さんの白磁はクールなんかじゃない。
悲しいくらいに暖かい。
初めての演奏のギャラは、うつわ菜の花のオーナーから頂いた、黒田さんのうつわでした。
ご本人がいる、作品に包まれたその空間で、わたしは音楽を始めたのだと思います。
丸み、深み、温かみ。
朧に、境界に、空気を包む。
黒田泰蔵さんの白磁はクールなんかじゃない。
悲しいくらいに暖かい。
初めての演奏のギャラは、うつわ菜の花のオーナーから頂いた、黒田さんのうつわでした。
ご本人がいる、作品に包まれたその空間で、わたしは音楽を始めたのだと思います。
いつもopenradioをご試聴くださりありがとうございます。
フィールドレコーディングは、ひっそりと、ひっそりと進行中。
山、谷、駅、機上、港、川 etc…身近には実はたくさんの自然があることを、音によって発見します。
本日4月の満月のopenradioは放送できませんが、九州のとある場所で、サックスの音を奏でます。
どこかで鳴る音は、それでも遠き誰かに届く様な気がするのです。
満ちし音波も光も春の中
openradio No.155/4月上弦の放送は、バッハ、アルゼンチンの囁き、イタリアのジャズピアノ、小指のいたみ、サティ、セネガルのビートです。
ー岡本太郎が1938年International シュルレアリスム・パリ展に出展した作品《傷ましき腕》を想起させる「いたみ」という語彙。
彼が戦後日本で表現活動のひとつして執筆した書籍からは、人間の生きるという営みの奥底にある記憶ー縄文が見て取れる。
社会学・文化人類学者のマルセル・モースを師とし、シュルレアリスム運動に接した20代を過ごしたパリでの時間がその土台にあることは間違いないだろう。
わたしたちは、傷つけ傷みながら生きている。
ご試聴はmixcloudからどうぞ。
→https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-no15520210420-waxing-moon/
00) Bach_ Ich Ruf Zu Dir, Herr Jesu Christ, BWV 639 (Stefan Temming)
01) La Viajerita (Atahualpa Yupanqui )
02) J’aimerais tant savoir (Giovanni Mirabassi)
03) 小指のいたみ(石川さゆり)
04) Fâcheux Exemple (E.Satie)
05) Njuly (Omar Pane)
見上げれば飛ぶも月さへ春の空
何度でも繰り返し引用しよう。
「完全に商品と化した文化は、スペクタル社会の花形商品となる運命にある」
フランスの著述家ギー・ドゥボール Guy Debordによるこのフレーズ。
ハリウッドの映画セットのような環境破壊末の果ての現実世界、あるいは路上を走るけたたましい資本主義のノイズ。
思想なんてものともしない輩たちが牛耳る世界。
人々は今ある距離の中で生活をする、実は当たり前の時空間に生きている。
自力でなく乗り物を使い移動することに常に罪悪感を感じる。
動くからには、命をかけて生きようと思う。
楽器一本を携えて。
北米-グリーンランド-北欧そしてアイヌの地。
ぐるっと一周と言いたいところだが一周も何も北極圏を中心にしてみればこの地域の至近感はみてのごとく。
以前網走で演奏した際、驚異の体験の場となった北海道立北方民族博物館。
天都山の山中にある、人類学的な見地で収集されたモノ、文献、資料の宝。
音も然り。北米インディアン~イヌイト~サーミ~アイヌ。
声なのです。
プリミティヴという名にふさわしい、声。
そういえば、退官後北米インディアンの研究をしたいと仰っていた方は、声をだすために詩吟を習おうかとも言っていました。
Native American Traditional Cree Music
https://www.youtube.com/watch?v=hKdcdOeTF-o
安東ウメ子 – フタレ チュイ [ Ainu Folk Music ]
地と風と北の概念春を待つ
openradio No.153の放送のintroductionは、わたしもその物語に魅了されつづけている陰陽師をテーマにした、ジャズピアニスト・スガダイローさんの演奏から。
思えば小田原でKyの演奏を聴きにこられた作家の夢枕獏さんに、「フランスで陰陽師の講演会をしてみませんか」とお誘いしたのがことの始まり。
作家自身が産み出した物語を読み、そして楽師が音を奏でる。
パリで、日本で、朗読コンサートが行われたのです。
最初に選んだ場所は、代々木能舞台。
あの空間で言葉と音が響く瞬間を聴きたかった。
その後東京のジャズクラブ、あるいは空海が開創した高野山の金剛峰寺で、1200年目予祝として100年に一度の年に100人以上の方が全国から聴きに来てくださった。
100年前は自動車で高野山に来る人々はいなかっただろう。
それぞれの道中それがすでに音と言葉、そしてこの地との逢瀬となる旅。
わたしが陰陽師に魅せられ、書評として書いたものは文藝春愁のwebサイト「本の話」で読むことができます。
→https://books.bunshun.jp/articles/-/1507
4月清明下弦のopenradioはこちらからご試聴いただけます。
→hhttps://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-no153-20210404-waning-moon/
00) 蝉丸 (スガダイロー)
01) 龍神祭 (スガダイロー)
02) 歌の庭 (Bala Dee)
03) Striving After Wind (Brad Mehldau)
04) April in Portugal (Janet Seidel)
05) O Ephraim (Brad Mehldau)
この日はちょうど山王院竪精の日でもあり、朗読コンサートの参加者たちは山王院へ向かう僧侶たちを送り、金剛峰寺内へと移動した。
この儀式は夕方から翌朝4時まで続いたそうだ。
生きる上でのスローガンがあります。
「宝物は俳句、音楽は血」
そして、43年目にしてようやく自覚したことは…
「恋人はJazz」、ということ。
その虜になる人との連帯も含め、
あの魔法のような音楽は、根源的な人類の生 La vie であるということに、ようやく気がつきました。
複数形恋する春にJazz兆す
巷ではbandcampというプラットフォームでの音楽の発見、購入、交通が頻繁に行われています。
5年前にUKの友人から勧められていたもののようやくopenmusicの登録が完了。
早速まだ見ぬリスナーの方々に購入いただき候。お礼申し上げます。
Manuel Göttschingをやはり5年前くらいから聞き始め、その世界の虜になりました。
作品はInventions for Electric Guitar。
openradioでも選曲したいものの、46分の作品ゆえに、そして現在入手困難のため断念。
心身の変調をこの音楽を聴きながら感知する方法もみつけました。
可視化されない感情=エモーションと、realisticな器官としての横隔膜の関係の中に見出せる、変調。
わたしがなぜサックスという楽器を演奏するに至るか明確になったのです。
肺は袋でしかなかった。
呼吸そして感情のコントロールの要は横隔膜であったと…。
この発見をどのように音楽に還元できるか。
bandcamp openmusic
→https://openmusic-ky.bandcamp.com/
反復の呼吸と生きて春の風