Archive pour avril, 2020
29 avril, 2020 @ 15:10
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もう何年も前、ドゥールーズの娘さんと彼女の元旦那さんにお呼ばれした。
そこはパリ下町20区。
あの17区のアパルトマンを離れ同居4世代の最年長者としてサロンに座るドゥールーズの奥さん、ファニー。
映画監督である娘のエミールの寛容性。
現在の奥さんであるモッド。乳のみ児は今中学生に。
女たちに囲まれ、最後までアルコールと喫煙を手放さなかったその男ローランはもういない。
残された女たちのLa vie は今、どこにあるのだろう。
彼女たちが同居するその空間とは、それぞれの玄関が中心にある大木を囲む形になっている。
それは、アフリカの女たちがごはんをつくるあの中庭を彷彿させる。
土と藁でつくった家々に囲まれた中庭には、山羊、鶏の小屋、あちらの樹とこちらの樹にひっかける洗濯ロープ。
社会的距離は体感的距離という呼び名の方がいい。
個体の幻想は今、共生の中に投影されるだろうか。
「すべてが絶えることのない相互作用の中で共存するのだ。」
-千のプラトー- から ジル・ドゥルーズ・フェリックス・ガタリ
Ou bien
「生成変化を乱したくなければ、動きすぎてはいけない」
-記号と事件- ジル・ドゥルーズ
陽炎へりごはんをつくる女たち
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27 avril, 2020 @ 8:52
· Classé dans 俳句 haiku , 時勢 circonstance , 音楽 musique
ラマダンがはじまり昨日の三日月それは、トルコの国旗にあるがごとくの様相。
マグレブ、アラビア半島、エジプトを始め旧オスマン帝国地域がイスラームを基とする国々にみえますが、西アフリカ・マリには泥でできたモスク・ジェンネを代表するように敬虔なモスリムがいます。
また目下某国から明らさまな民族浄化をされているウイグルの人々。
彼らもまたラマダンの最中であることでしょう。
しかし実態は同化を強制され、拉致、強制結婚、彼らのアイデンティティの基にある信仰はことごとく踏みにじられています。
少しの旅を。
それは自己が、自然あるいは他者の中に存在する感覚を得ることであると同時に、
対する何かに-Reflection- 反響、反射、反映すること。
存在の肯定・否定両者が同居していることを認識することなのかもしれません。
深い呼吸を、やわらかい笑みを、べったりと背中を床につけて。
情景は今想像の中に。静かな心象風景に音楽が囁き、沁み入らむ。
トルコにはいつも黒海からの風が吹いている。
ロバと移動
最近はこういう曲をつくっています。
http://openmusic.unblog.fr/files/2020/04/200420_05.mp3
http://openmusic.unblog.fr/files/2020/04/200420_04.mp3
ラマダンと大気祈らむ春の月
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22 avril, 2020 @ 23:52
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生涯アルトサックスだけを吹ききったLee Konitz。
春そして、彼も不在の域へ発ち逝った。
四月を生きる子供、四月を置いていってしまった人、すべては循環の中に。
春愁、それでもいつも音楽が隣にいてくれます。
2020年4月23日新月のopenradioはこちらから
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-2020423-new-moon/
エッサウィラの孤児院には今日も音楽がある
一緒に巻き寿司楽しいね
みんなそれぞれの、「海」!
カリブの海、一緒に演奏する喜び
カンボジアの学びの場は外だよね
そして春不在の域へ君発ちぬ
http://openmusic.unblog.fr/files/2020/04/labellevie-openradio.mp3
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20 avril, 2020 @ 22:56
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-逢いたい-という気持ちは今、コロナウイルスと同じくらいに
この世界のいたるところを彷徨っています。
太古の人々が月や霞や花の香りに想いを寄せたように、
今や汚染から解放された澄んだ空を仰げば涙がこぼれ、行き場のない
« 逢いたい »という気持ちを風にのせることしかできないかもしれません。
みんなの、それぞれの-逢いたい-という気持ちが、
国境やら色々な境を越えて、風にのって誰かに届けばいい。
VOIE
quel est ce chemin qui nous sépare
à travers lequel je tends la main de ma pensée
une fleur est écrite au bout de chaque doigt
et le bout du chemin est une fleur qui marche avec toi
ーーTristan Tzara
道
わたしたちを隔てるこの道は何か
そこを通り思考の手を差し伸べるような道
それぞれの指先で一輪の花が記述される
そして道の先は君と歩く一輪の花
ーートリスタン・ツァラ
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19 avril, 2020 @ 22:38
· Classé dans 俳句 haiku , 時勢 circonstance
心は、何を支えに持ちこたえているのでしょう。
一日になんども訪れる起伏。
言葉や音楽、空や雲、会話や記憶にそれを求めることがあるかもしれません。
身体が感じ取った、あの湿度、あるいは霧たちこめはじむ土の息。
心や身体が覚えているあの質感にしばらく身をゆだねる、
というのも悪くありません。
逝く春や影の質感残しつつ
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17 avril, 2020 @ 0:23
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あなたからどれだけの、サックスの音の寛容性を、
儚さを携えうることの可能性を教えてもらったことか…
Lee Konitzの存在を知った17歳。
夜な夜な通ったジャズクラブで聞いたその音。
彼の存在を教えてくれた人はこう言いました。
「言葉を超えた美しさこそ音楽のあるべき姿です」
パリで初めてお話した時、わたしは感極まって…Leeと誕生日が同じであることは、わたしのこれからのサックス人生を支えてくれる。
ー遠いものが近いものを照らし出すように、
近いものが遠いものを照らし出すこともあるー
サックスの一音に落つ涙の粒(追悼句)
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16 avril, 2020 @ 10:06
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ギター笹久保伸さんとのプロジェクト。
3月のパリレコーディングから始まり6月フランスツアーも延期に。
当然ながら5月の日本ツアーも同様の延期となります。
新緑を恋ふて窓辺は今日の風
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15 avril, 2020 @ 17:44
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個体でいることの強み。
それでも、対相手との音楽を通じた、音の交換をする喜び、そういったささやかな、一日一日です。
openradio4月上弦の放送はエクアドルのピアノ-UKのコンクレート-NYのユダヤ人ギター-そしてあのリアーナ…
またもや狂った選曲でお楽しみください。
この選曲にニンマリするあなたにfalling love。
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-2020415-waxing-moon/
弥生燦々と注ぐ太陽に告げるメッセージは、
「ブタ箱に入れられようが、茎立ちし花を咲かせた植物の命、種を農家のごとく取り続ける」
ナブダンヤNavdanyaとは、インド哲学・環境活動家 Vandana Shiva女史率いる生物多様性の保全、有機農業、農民の権利、種子の保存プロセスを促進する非政府組織の名称です。
http://www.navdanya.org/site/
月空に花種蒔ひて骨拾ふ
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14 avril, 2020 @ 12:53
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愛する人、人々のためにごはんを作る時間ほど幸せなことはありません。
それを共に分かち合う時間ほど生きていると感じることはありません。
「パリっ子の食卓」という名著を書いた、フリーペーパー・オブニーの元編集長
佐藤真さんは、ミュージシャンでもあります。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309283784/
マコトさんのフランス家庭料理のアシスタントをすることによって教わった数々。
レストラン取材ではパリ中のビストロを闊歩し、おおいに飲み歩き…
またミュージシャンとして何度かの演奏、そして録音をしました。
マルセイユ在住のロマのギター奏者、Raymond Boniとのツアーでは、男である彼らは実に工夫を凝らした手料理を作っていた。
女である私が台所に立つ出番は皆無であるほどに。
今まさに、彼は病と闘っているのですが、彼のレシピから溢れ出る
「ごはんをつくる」愛情に今、甘えています。
と同時に、テントさえない移民たちの今日のごはんを思うと、食べ物の循環の不条理に怒りを覚えることは否めません。
https://www.bbc.com/japanese/video-52253632
おいしい一皿を作るにアーモンドを炒る。
そんなひと手間に、心うたれます。
彼が最後につくってくれたのは、驚くなかれのうますぎるクスクスでした。
旬の白アスパラガスには、自家製マヨネーズに泡立てた生クリームを混ぜることによって、卵の匂いが抑えられ、ふわっとした春の雲のような風味になることを学んだものです。
今となっては私の18番になったプルーンのケーキ、ファーブルトン
アップルタルトは生地を捏ねすぎないでサクサクにするのがこつ
大丈夫春の静寂にゐるからね
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10 avril, 2020 @ 5:23
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異国に生きる者を、生きるその土地の歴史はいつの日か内包するだろうか。
アイデンティティーと出自は往々にセットになっています。
古今このかた移動という方法で生き存えてきた私たちは、アイデンティティーというものが時間軸、あるいは土地土地でアップデートされることを必要とし、
また享受してきました。
そして、少しの変容と共にあるこのアイデンティティーは、出自という記憶と呼応し、命に一層の深みを与えてくれる。
今回のけいそうビルリオフィルの連載「ごはんを作る場所には音楽が鳴っていた」では、オスマン帝国という広汎な土地の中で生きてきた人々に伝わる、キョフタという肉団子です。
肉団子という系譜はスパイスにより展開されるもので、
人類の手と舌の好奇心によって今わたしたちが日常的に食べるものになっています。
ハンバーガーだって、その系譜にはいりますね。
それでは、今手の内にある時間の中で、手でこねて作るという作業をお楽しみください。
オスマン帝国の肉団子・キョフタ -国に生きる、歴史に生きる-
https://keisobiblio.com/2020/04/08/nakanomaki14/
手の中に生まれる命春時雨
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8 avril, 2020 @ 0:35
· Classé dans 俳句 haiku , 時勢 circonstance , 音楽 musique
昨日は尾崎放哉の命日でした。
ーお月さんもたったひとつよ(放哉)
満月のopenradioは月にちなんだ数曲を。
最近ドアが話しかけてきたり、泡立て器が突然笑ったりするので、彼らに呼応するごとく、La Belle Vie 美しき人生という曲を録音してみました。
遠隔作業という方法で録音したStephane Tsapisのピアノの上で歌います。
今宵弥生の満月のopenradioの放送は、まったりとした時間をどうぞ。
https://www.mixcloud.com/makinakano/202048-full-moon/
ジャズギター奏者でもあるSacha Distelによるこの曲の歌詞は、
ざっくりと、こんな内容です。
La Belle Vie
あゝ、美しき人生
愛はない、心配もない、問題もない
ふぅ、美しい人生か
僕らは一人ぼっち
僕らは自由
だから連れ立って歩こう
友人達と、明日を怖がらずに楽しもうよ
朝まで徹夜してさ
それにしても、人生は美しい。
愛はない、心配もない、問題もない
僕らは抱き合い、僕らは悲しくて、だから、一緒に歩こう
ところで、僕が君を愛しているって、わかるかな?
いつかそのことを君がわかる時、目を覚まして
僕はそこにいるから 君のために
在りし日のBarに集ふたパリの春
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