空港で羊に会いましょう
少し前までベルビル界隈にはマグレブの人々がろばを繋いで道を歩き、
18区のアフリカ人街では鶏コッココッコと鳴くCageが数十個、
近所の人はここで卵を必要なだけ買った。2002年前後のパリ移民街の風景。
2016年、空港の敷地には羊が飛行機と共存する姿。
あるいはだれかによるInstallation artというギャグだろうか。
少し前までベルビル界隈にはマグレブの人々がろばを繋いで道を歩き、
18区のアフリカ人街では鶏コッココッコと鳴くCageが数十個、
近所の人はここで卵を必要なだけ買った。2002年前後のパリ移民街の風景。
2016年、空港の敷地には羊が飛行機と共存する姿。
あるいはだれかによるInstallation artというギャグだろうか。
藤の芳香の中で、歩く目線をすこし上げると、
桐の花、花、花。
双方薄紫の階調。
藤は垂れ桐は空へ、重力の中で生きている。
藤は春、桐の花は夏の季語。
春のフェイドアウトと初夏にむかうクレッシェンドの間にある
五月という時が見えてくる。
珈琲をテラスで二人桐咲きぬ
ブルターニュ、23時。
村は真っ暗、電灯は皆無。
港の灯台が遠く瞬く。
空は新月。
すると、空は星たちの光で溢れる。
こぐま座、金星、みずがめ座η流星群。
すると、呼び起こされる映像は、チリの映画監督パトリシア・グスマンの
「光のノスタルジア」と「真珠のボタン」。
薄暮に浮かぶひこうき雲を見ながら、この得体の知れぬ機体に乗る
わたしたちの日常を思い浮かべながら、
生身の人間は、星のひかりに身をゆだねるしかない。
惜春や瞬く星のそば去りて