白濁した飲みもの -カンボジアからその壱-

西アフリカでバンギーと呼ばれるパームワインは、
その飲んだ時の表現が確かミッシェル・レリス著「幻のアフリカ」文庫本の、
真島一郎さんによる解説に出てきた覚えがある。こんなくだりだったと思う。
「レリスとおなじく私もまた、初めてヤシ酒(バンギー)を口にしたとき
「精液の底味」を舌先に覚え…」

ブルキナファソで始めて飲んだ時の感覚が蘇る。

ここカンボジアでもヤシ酒を飲む様で、シェムリアップ(アンコールワット遺跡の
地)で仲良くなったバイク車の運ちゃんに誘われ、マキ(林より小さい茂み)にある
村の集いの場でこれを味わせてくれることとなった。
街を離れ、村の様な場所ここは、地元の人々が長閑に過ごす、とでもいうか、
観光客の足はここまで届かない雰囲気だ。
一晩前にヤシの汁を採り、翌日の昼まで醸造させ、
その日の20時まで飲むものである理由に、
僅かな時間による醸造であるからしてお腹にくるそうだ。
これが街で見かけない理由、観光客にもあまり提供しない理由なのかもしれない。

昼の14時はイベリア半島よろしくシエスタといきたいこの地の気候の中、
特に若者がマキに集まり、ところで私を連れて来た運ちゃん然り、
昼間から白濁したヤシ酒を飲む。一緒に。
アルコールはきわめて低いためバケツ一杯を何杯でもいけそうだ。
実際この飲み物はバケツに入れられている。
つまみは川魚の素揚げと鶏のレバー。
一緒に出てきたソースは、やはりヤシ酒が酢になったものだという。
給仕の女性は自作の酢、何年ものとやらをペットボトルに入れ、
帰り際私に持たせてくれた。
これはどうやらカンボジア料理を深く知るきっかけになりそうだ。

どの土地にあっても、人間一人一人の毎日のこの瞬間をどのように共同できるか。
それは極めて個人的な経験になるであろうし、個によって形成される関係だ。
そして彼と私の間にはバンギーを介した瞬間、
”運ちゃん”・”お客さん”という関係はなくなり、
ただただうまい酒を飲み交わす”仲”という、
互いの内的体験が今という時をつくったのだ。

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ヤシ酒で乾杯と相成る。
カンボジアのものは西アフリカのものより炭酸が弱いようだ。

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クメール語ではカテーチューと呼ばれるヤシの酒

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肴は外に出ている炊事場で作っていた。

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米酢に似た、しかし酸味はよりまろやかなヤシ酢

麦酒とは似て非なるかなヤシの酒

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