出汁に返り
祖母の家に行けば、冷蔵庫にいつも入っていた瓶の中身は、
昆布と煮干し、または昆布のかつおの出汁、だった事を思い出す。
視覚的思い出だけでは味覚がよみがえりはしないけれど、
蓋を開けた時の、子ども時には何の興味もなかった香りが、
今は毎日の生活にどうしても必要、とくるから面白い。
1Lの出汁を一人一週間で使い切る。というのも、
美味しい八丁味噌を入手たしたからで、
郷土愛(郷土臭)を全面に出す訳ではないけれど、
やはり赤出しは、おいしく毎朝の必須食。
週の間にはフランス料理教室の助手
(というと、たいそうな感がするけれど、
実はひたすらの洗いもの、下準備の補)
で味見する季節のフランス野菜の旨いこと。
白アスパラガスは、
手作りマヨネーズを軽く仕立てるに、
レモン汁と脂肪分を押さえた生クリームとシブレット。
フィレミニヨンのオレンジソースには生姜と胡椒をたっぷりと。
柔らかいけれど脂身の少なさをバターで補い。
となるとワインが、すすむ。
翌朝は、やはり出汁を欲する身体。
身体は身体だけれど、
辰巳芳子氏が云ふように、朝頂くお汁は、「心から心への印象」なのかも。
遠近の 湯気は出汁から 春の朝
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