池波正太郎の、「散歩のとき何か食べたくなって」
池波正太郎の文章にはまると、日々の生活風景も彼の作品の中の様になってくる。
ここパリでは指をくわえるしかない店の名が連なり…
「名古屋の百老亭」 よく父親と行ったなあ…一体何皿食べたことか。
もちろん大須のお店。
「高橋の伊せ喜」 まさに江戸の下町を感じさせる佇まい。
九州の鍼の先生と、斜に構えて鰌でちびちび。
「とんき」 これまた父親と。
とんかつ食べよう!といえば、上野の井泉か目黒のとんきだった。
ところで本の中には牡蠣、が出てこない。
今は東京フォーラム内に入ってしまい、味気ない雰囲気になってしまったけれど、
有楽町の「レバント」。
的矢の牡蠣が食べられるお店にして、 あの昔の雰囲気(給仕さんも含め)が
消えたのは、寂しい。
それに、三ノ輪の「参」が店じまいしてしまったのは、本当に残念。
グルメでもなんでもないけれど、 遠い故郷を想い、食の妄想に走るのは、
単なる食いしん坊の性。
そんなこんなの日には、クレソンをたっぷりと買ってきて、
玄米に、クレソンのスープ、白身の魚をさっとポワレして、添えにクレソンのおひたし。
粗食の醍醐味、といきます。