音楽雑誌ラティーナ最終号

生まれてはじめてCDガイド評というものを書いてみました。
今までライナーノート、書評、インタビュー、はたまたレストラン記事、フランスに働く職人を取材し文章にしてきましたが、今回は短いながらとても難しい作業であったことをお伝えします。
それはひとつにわたくし自身がこの作品に参加しているからかもしれません。
演奏者の命の一滴は様々な人の手を介して、今日わたしたちに届く音楽となる。
空間に満ち満ちる音の粒。
聴く者の心骨奥深くに沁み入り、この世の果敢なさを放つギター一本の音。

(余談ですが、フランス語で沁み入る=Pénétrerという動詞はセンシュアル Sensualな用語としても使われますね。)

是非お聴きいただけますように。

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ギター奏者・笹久保伸 29枚目の最新アルバム Perspectivism

https://http://www.ahora-tyo.com/detail/item.php?iid=18653/
ご本人へ直接の注文をお勧めします。sasakubox@gmail.com

音楽雑誌ラティーナは、パリに渡ってからも長く読ませていただきました。
なぜ日本の雑誌をフランスで読めたのでしょうか。
それは、エスパスジャポンという40年に渡る文化センターの図書館に寄贈されていたからです。
恵比寿のあの事務所から、毎月パリに届く冊子。
紙媒体は最終号になりますが、これからはweb上で、益々興味深い音楽の世界を教えてくださることと思います。
関係者の皆様、まずはこの節目、ありがとうございました。

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パリでの録音は3区にあるアーティストギルドの地下スタジオにて。

震るる音消へては触れてなほ火照る

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ニゲラと萃点

皐月花溢れる日々の中、どこもかしこもバラ。
それもよし。
ベランダには空へ向けてバラが気持ちよさそうにしています。
失敬しては活け、香りとその姿を身近に置く。
しかしこの季節、この季節にしかないニゲラの宇宙に惹かれます。
花弁が散れば、その中心からたくさんの種が生まれる。
インドではこの種をスパイスとして使います。
一つの花から多数の種が土に還り、また来年。
立体的で、線の細いこの花の構成は、やや大げさかもしれませんが、南方熊楠がいう萃点を彷彿させます。

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往々にして赤いバラは棘が多いようです。

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清々しい白の香り

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まったくもってバラその種類には驚くばかり。

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ダマスのニゲラ。シリアのあの地から伝わったのでしょうか。
バラはその起源をメソポタミア、その後十字軍がヨーロッパに持ち込んだとされているそう。
フリーペーパー、Ovniの取材で中世の町プロヴァンのバラ園を訪ねたのもやはりこの時期でした。
https://ovninavi.com/743balade/

少しだけ見惚れていたひ夏ニゲラ

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ラマダン断食月を終え…祈りは続く

Eid-ul-Fitr。 断食月明けおめでとうございます。
4月の新月から1ヶ月。ムスリムの人々にとって一年の中でもとても大切な時間。

そして、目下世界は祈りに満ちているはずです。

今宵5月の新月のopenradioは、イードを迎える人々へのレスペクトとしてモロッコのマラーム、トルコ、シリア、エジプト、ギニアの音を…
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio2020523-new-moon/

00) Call to prayer (Sabri Moudallal)
01) Fangara Fangarie (Maalem Si Mohamed)
02) Karcigar zeybek (Trio Zartar)
03) Victor Challita (Stephane Tsapis/Lynn Adib)
04) Ya Roh (Naissam Jalal)
05) Sabou (Mory Kante)

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新月を迎へし空の初夏は虚無

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シーツを替えてバジルを摘んで

ようやく汗ばむフランスの5月。
そっと蒔いたバジルの種はこの3ヶ月ですっくと伸び、今食卓に香りを添えてくれる。
ささやかに、マルシェで求める野菜、育てるハーブと共にある生活。
音の練習は上々に空を目指して。
趣味の種採取の成果も、今夏にむかて現れてくることでしょう。

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訳もなくハートのシーツに替へし初夏

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暑さ覚えるこの時期は、バジルを添えた冷製パスタが、いい。

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埴谷雄高とアンドレ・セゴビア

埴谷雄高、彼は不整脈を患っていたことから、実際に心臓がある瞬間止まる経験その中に、彼の形而上学的思想が生まれた、という話を聞きました。
これは身体的現象が思想を促すという面白い逸話です。

アンドレ・セゴビアの音楽にインスピレーションを受けた音楽家。
彼はセゴビア自身の演奏を目の前で聞いたことはないかもしれないけれど、残された音源から音の魂を内包し携え、今、違う形でわたしたちの心に彼自身の音楽を届けてくれます。

演奏を職能とするわたしたちの今は、ある試みの過程只中にあります。
生きた人間が生きる人間のいる空間で奏でるということの不可能性。

同じ空間に、今は亡き彼らの、思想、音楽という存在は今もわたしたちと共にある。
生きた音楽の中にあるはずです。

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一音が放つ曼荼羅五月闇

Image de prévisualisation YouTubeセゴビアにインスパイアを受けたというSun Kil Moon(MARK KOZELEK)の音楽

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サティの誕生日

5月17日。
芍薬に薔薇、梅花空木(バイカウツギ)に忍冬(スイカズラ)の香り、
その色気に目眩を覚える暦の上では初夏。
サティの生まれたノルマンディー、オンフルールの海辺に行くまでの道にも、たくさんの香りが漂っていることでしょう。
白を愛したサティのささやかな声、ともいえる作品
「Fâcheux exemple-憂鬱の例え-」を聞きながら、刻をやりすごす今日です。

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空白の誕生日埋める薔薇の香

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孤独とは白を愛した男の空木

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悲愴・再生・ 親密な

最小限の中にある音楽をびしびし感じ取る。
その音楽とはどこにあるのでしょうか。
それは、やはり最小限的関係性の中に在ります。
こうやって、生活の中のささやかな、しかし親密な関係の中にわたしたちは音楽を宿して生き存えてきたのだと思います。
ベートーベン、アルメニア、マーク・デゥクレ、セックストーイの歌、スティーヴィー・ワンダーを今宵下弦の夜に。

2020年5月14日下弦のopenradioはこちらから
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio2020514-waning-moon/

1) The Spinners (Tigran Hamasyan)
2) La chanson du sextoy (Maki Nakano)
3) L’annexe (Marc Ducret)
4) Golden Lady (Stevie Wonder)
5) Piano Sonate pathétique / Beethoven
(Daniel Barenboim)

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遠きにて皐月半月密に乞ふ

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香の季節 la saison d’odeur

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急ぐことなゐよと苺口にせむ

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顔を寄せ過客残り香薔薇にみる

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From this place

茫漠たる日々の中どうやら躁のタイミングが突然到来し、昨日のopenradioはややはしゃぎすぎたかもしれません。
5月11日から解禁となる外出規制。
人々がどのような表情で街を行き交うのか、今までにない感覚に出会う気が致します。
何となく始めて登校するような気分です。

毎日の食卓もきっと様相を変えることになるでしょうか。
この場所で、この場所からできることを。

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南蛮漬けは作った翌日が、うまい。

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小ぶりな鯛のすべてをささやかな今日の命とします。

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フランスで茶碗蒸しを食すとは、昆布と鰹節でひく出汁が日本人のDNAを朗らかにしてくれるということのようです。

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5週間ぶりのマルシェの魚屋さんでは思わず鯵に鯛に蟹に手が伸びてしまいました。

暮らしとは普通の日々に鯵求む

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同一性とはグーグル検索の中にあるわけではない

茎立ちし、花が散ったら種を採り、次の恵みとする。
少し残しておいたクレソンを水にさせば、めくるめく命の循環を生む根が生える。
体も心もむずむずしてきました。
こんなにお天気な日が続けば、ものみな細胞は覚醒しますよね。

グロテスクなこの世の中において、個々人はアウトプットの方法として三種の神器となったTwitterやFB、インスタに委ねるしかない現世紀であるようです。
 体感的距離をスローガンに、そしてアイロニーを携えわたしがすることは、5月11日以降の街の角で一人サックスを吹くことかもしれません。観客は晴天の雲としておきましょう。音の震えは森の中に、山の中に、そして水面に在ればいい。
もちろんサックスにマスクをつけてね。

2020年5月7日満月のopenradioはこちらから
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio202057-full-moon/

「小さきものたちの神」の著者であるアルンダティ・ロイ女史の「民主主義のあとに生き残るもの」の一節にはこうあります。

「人びとの心に触れる術[Art]。そのような術[Art]は人びととつながり、人びとをつなげて精神の共同体を作り上げることができる。これこそがわたしたちにとって最大の挑戦です。
ーある人は「どうやって反応(フィードバック)を得るのですか?」と聞きますが、
「交差点に立っていれば自然に得られます」と答えています(笑)。」

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サンバルテレミー島のマキさんは、マルデグラの日にトランプ実物大人形に火を放ったイカした男。
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夏めくやここから探す君の空

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楢山節考ーアンティラの豪邸

「資本主義の現実の-墓掘人-は、まるでイデオロギーを宗教とした枢機卿のように、妄想に憑かれたままその役目を終えるかもしれない。
いくら戦略に長けていたとしても、彼らには単純な事実が把握できないようだ
ー資本主義が地球を破壊している、ということを。
戦争と消費というふたつの古いトリックで過去の危機を切り抜けてきた資本主義だが、もうその手は効かない。

 私は長いあいだアンティラの外に立って、陽が沈むのを見つめていた。
その塔のような豪邸建物が、高さと同じだけ深さを持っていることを想像してみた。
そうするとそれは27階建ての根茎を持っていることになり、地面の奥深く根を張りめぐらして地球から栄養を吸い尽くし、それを煙と金に変えてしまうことだろう。」
                      ーアルンダティ・ロイ

 死の循環という希望ある世界と、飼い慣らされる生の不自由さの世界。
わたしたちの今はハイパーローカル、あるいは鶴見俊輔云う »Extremely Local »である土地土地で、ひっそりとそして揺るぎない生という時間を携える者たちへの眼差しから始まる。

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窮屈な自由の果ては首夏に死す

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皐月上弦八十八夜

自然には隷従しますが…命をないがしろにされた果て自由という名の似非社会による内的自由とどう対峙するか。
窮屈な自由。

母国を遠近からみる、そんな日々が続きます。
季語は今日から夏へと変わります。
古典声楽歌唱法タハリールの至宝、Alim Qasimovの声は、壮年よりまして御歳だからゆえの質感がたまりません。

フランスーアゼルバイジャンーペルー・アヤクーチョの音楽を、どうぞ。

0) No Title (Maki Nakano)
1) Ragalegria (Louis Winsdberg)
アルバム:Jeleo (2001)
2) Essoum Lennie-Bird (Stephan Oliva & Francois Raulin [P])
アルバム:Tristano
3) Mansuriyya (Alim Qasimov)
アルバム:Awakening
4) Pour que l’amour me quitte (Camille)
アルバム: Le Fil
5) Adios Pueblo de Ayacucho (Shin Sasakubo)
アルバム:Ayacucho I – Tradicional

2020年5月1日上弦のopenradioはこちらから
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-202051-waxing-moon/

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上弦や香も届かぬ春の距離

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ドゥールーズの中庭で

もう何年も前、ドゥールーズの娘さんと彼女の元旦那さんにお呼ばれした。
そこはパリ下町20区。
あの17区のアパルトマンを離れ同居4世代の最年長者としてサロンに座るドゥールーズの奥さん、ファニー。
映画監督である娘のエミールの寛容性。
現在の奥さんであるモッド。乳のみ児は今中学生に。
女たちに囲まれ、最後までアルコールと喫煙を手放さなかったその男ローランはもういない。
残された女たちのLa vie は今、どこにあるのだろう。

彼女たちが同居するその空間とは、それぞれの玄関が中心にある大木を囲む形になっている。
それは、アフリカの女たちがごはんをつくるあの中庭を彷彿させる。
土と藁でつくった家々に囲まれた中庭には、山羊、鶏の小屋、あちらの樹とこちらの樹にひっかける洗濯ロープ。

社会的距離は体感的距離という呼び名の方がいい。
個体の幻想は今、共生の中に投影されるだろうか。

「すべてが絶えることのない相互作用の中で共存するのだ。」
      -千のプラトー- から ジル・ドゥルーズ・フェリックス・ガタリ
Ou bien

「生成変化を乱したくなければ、動きすぎてはいけない」
      -記号と事件- ジル・ドゥルーズ

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陽炎へりごはんをつくる女たち

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ラマダン月の世界へ 少しの旅を

ラマダンがはじまり昨日の三日月それは、トルコの国旗にあるがごとくの様相。
マグレブ、アラビア半島、エジプトを始め旧オスマン帝国地域がイスラームを基とする国々にみえますが、西アフリカ・マリには泥でできたモスク・ジェンネを代表するように敬虔なモスリムがいます。
また目下某国から明らさまな民族浄化をされているウイグルの人々。
彼らもまたラマダンの最中であることでしょう。
しかし実態は同化を強制され、拉致、強制結婚、彼らのアイデンティティの基にある信仰はことごとく踏みにじられています。

少しの旅を。
それは自己が、自然あるいは他者の中に存在する感覚を得ることであると同時に、
対する何かに-Reflection- 反響、反射、反映すること。
存在の肯定・否定両者が同居していることを認識することなのかもしれません。

深い呼吸を、やわらかい笑みを、べったりと背中を床につけて。
情景は今想像の中に。静かな心象風景に音楽が囁き、沁み入らむ。

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トルコにはいつも黒海からの風が吹いている。

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ロバと移動

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最近はこういう曲をつくっています。

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ラマダンと大気祈らむ春の月

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四月の子供

生涯アルトサックスだけを吹ききったLee Konitz。
春そして、彼も不在の域へ発ち逝った。
四月を生きる子供、四月を置いていってしまった人、すべては循環の中に。
春愁、それでもいつも音楽が隣にいてくれます。

2020年4月23日新月のopenradioはこちらから
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-2020423-new-moon/

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エッサウィラの孤児院には今日も音楽がある

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一緒に巻き寿司楽しいね

Billiers小学校3
みんなそれぞれの、「海」!

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カリブの海、一緒に演奏する喜び

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カンボジアの学びの場は外だよね

そして春不在の域へ君発ちぬ

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距離の認識 distance de connaissance

-逢いたい-という気持ちは今、コロナウイルスと同じくらいに
この世界のいたるところを彷徨っています。
太古の人々が月や霞や花の香りに想いを寄せたように、
今や汚染から解放された澄んだ空を仰げば涙がこぼれ、行き場のない
« 逢いたい »という気持ちを風にのせることしかできないかもしれません。

みんなの、それぞれの-逢いたい-という気持ちが、
国境やら色々な境を越えて、風にのって誰かに届けばいい。

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VOIE
quel est ce chemin qui nous sépare
à travers lequel je tends la main de ma pensée
une fleur est écrite au bout de chaque doigt
et le bout du chemin est une fleur qui marche avec toi
ーーTristan Tzara


わたしたちを隔てるこの道は何か
そこを通り思考の手を差し伸べるような道
それぞれの指先で一輪の花が記述される
そして道の先は君と歩く一輪の花
ーートリスタン・ツァラ

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影の質感 texture d’ombre

心は、何を支えに持ちこたえているのでしょう。
一日になんども訪れる起伏。

言葉や音楽、空や雲、会話や記憶にそれを求めることがあるかもしれません。

身体が感じ取った、あの湿度、あるいは霧たちこめはじむ土の息。
心や身体が覚えているあの質感にしばらく身をゆだねる、
というのも悪くありません。

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逝く春や影の質感残しつつ

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Lee Konitz

あなたからどれだけの、サックスの音の寛容性を、
儚さを携えうることの可能性を教えてもらったことか…
Lee Konitzの存在を知った17歳。
夜な夜な通ったジャズクラブで聞いたその音。
彼の存在を教えてくれた人はこう言いました。
「言葉を超えた美しさこそ音楽のあるべき姿です」

パリで初めてお話した時、わたしは感極まって…Leeと誕生日が同じであることは、わたしのこれからのサックス人生を支えてくれる。

ー遠いものが近いものを照らし出すように、
        近いものが遠いものを照らし出すこともあるー

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サックスの一音に落つ涙の粒(追悼句)

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ナブダンヤ Navdanya の9つの種

個体でいることの強み。
それでも、対相手との音楽を通じた、音の交換をする喜び、そういったささやかな、一日一日です。
openradio4月上弦の放送はエクアドルのピアノ-UKのコンクレート-NYのユダヤ人ギター-そしてあのリアーナ…
またもや狂った選曲でお楽しみください。
この選曲にニンマリするあなたにfalling love。
https://www.mixcloud.com/makinakano/openradio-2020415-waxing-moon/

弥生燦々と注ぐ太陽に告げるメッセージは、
「ブタ箱に入れられようが、茎立ちし花を咲かせた植物の命、種を農家のごとく取り続ける」

ナブダンヤNavdanyaとは、インド哲学・環境活動家 Vandana Shiva女史率いる生物多様性の保全、有機農業、農民の権利、種子の保存プロセスを促進する非政府組織の名称です。
http://www.navdanya.org/site/

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月空に花種蒔ひて骨拾ふ

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パリっ子の食卓

愛する人、人々のためにごはんを作る時間ほど幸せなことはありません。
それを共に分かち合う時間ほど生きていると感じることはありません。

「パリっ子の食卓」という名著を書いた、フリーペーパー・オブニーの元編集長
佐藤真さんは、ミュージシャンでもあります。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309283784/
マコトさんのフランス家庭料理のアシスタントをすることによって教わった数々。
レストラン取材ではパリ中のビストロを闊歩し、おおいに飲み歩き…
またミュージシャンとして何度かの演奏、そして録音をしました。
マルセイユ在住のロマのギター奏者、Raymond Boniとのツアーでは、男である彼らは実に工夫を凝らした手料理を作っていた。
女である私が台所に立つ出番は皆無であるほどに。

今まさに、彼は病と闘っているのですが、彼のレシピから溢れ出る
「ごはんをつくる」愛情に今、甘えています。

と同時に、テントさえない移民たちの今日のごはんを思うと、食べ物の循環の不条理に怒りを覚えることは否めません。
https://www.bbc.com/japanese/video-52253632

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おいしい一皿を作るにアーモンドを炒る。
そんなひと手間に、心うたれます。

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彼が最後につくってくれたのは、驚くなかれのうますぎるクスクスでした。

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旬の白アスパラガスには、自家製マヨネーズに泡立てた生クリームを混ぜることによって、卵の匂いが抑えられ、ふわっとした春の雲のような風味になることを学んだものです。

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今となっては私の18番になったプルーンのケーキ、ファーブルトン

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アップルタルトは生地を捏ねすぎないでサクサクにするのがこつ

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大丈夫春の静寂にゐるからね

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国に生きる、歴史に生きる

異国に生きる者を、生きるその土地の歴史はいつの日か内包するだろうか。
アイデンティティーと出自は往々にセットになっています。
古今このかた移動という方法で生き存えてきた私たちは、アイデンティティーというものが時間軸、あるいは土地土地でアップデートされることを必要とし、
また享受してきました。
そして、少しの変容と共にあるこのアイデンティティーは、出自という記憶と呼応し、命に一層の深みを与えてくれる。

今回のけいそうビルリオフィルの連載「ごはんを作る場所には音楽が鳴っていた」では、オスマン帝国という広汎な土地の中で生きてきた人々に伝わる、キョフタという肉団子です。
肉団子という系譜はスパイスにより展開されるもので、
人類の手と舌の好奇心によって今わたしたちが日常的に食べるものになっています。
ハンバーガーだって、その系譜にはいりますね。

それでは、今手の内にある時間の中で、手でこねて作るという作業をお楽しみください。

オスマン帝国の肉団子・キョフタ -国に生きる、歴史に生きる-
https://keisobiblio.com/2020/04/08/nakanomaki14/

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手の中に生まれる命春時雨

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La belle vie

昨日は尾崎放哉の命日でした。
ーお月さんもたったひとつよ(放哉)
満月のopenradioは月にちなんだ数曲を。

最近ドアが話しかけてきたり、泡立て器が突然笑ったりするので、彼らに呼応するごとく、La Belle Vie 美しき人生という曲を録音してみました。
遠隔作業という方法で録音したStephane Tsapisのピアノの上で歌います。
今宵弥生の満月のopenradioの放送は、まったりとした時間をどうぞ。
https://www.mixcloud.com/makinakano/202048-full-moon/

ジャズギター奏者でもあるSacha Distelによるこの曲の歌詞は、
ざっくりと、こんな内容です。

La Belle Vie

あゝ、美しき人生
愛はない、心配もない、問題もない
ふぅ、美しい人生か
僕らは一人ぼっち
僕らは自由
だから連れ立って歩こう

友人達と、明日を怖がらずに楽しもうよ
朝まで徹夜してさ

それにしても、人生は美しい。
愛はない、心配もない、問題もない

僕らは抱き合い、僕らは悲しくて、だから、一緒に歩こう
ところで、僕が君を愛しているって、わかるかな?
いつかそのことを君がわかる時、目を覚まして
僕はそこにいるから 君のために

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在りし日のBarに集ふたパリの春

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生の原罪 péché de la vie

アイロニーは跳ね返って今日生きるわたしたちに問う。

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連れてってあちらの世界は風光る

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花買えぬ日々

そうなんです。花屋は閉まっているのです。
外出証明書を持参しスーパーでの買い物は一日一回(500m圏内+1時間以内)でできるも、日々毎に変える花瓶の水の存在は今やありません。
それでもバルコニーに生きる野花を失敬し、あるいはカメラの中にある在りし日の花たちを愛でます。
水仙の時期は終わり目下桜に目が行きますが、連翹に雪柳、木瓜の色合いの愛らしさ。
そろそろ沈丁花の芳香に誘われし頃かな。
それでもやはり、勿忘草のささやかな存在が、今一番のやさしさです。

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忘れな草ささやかに今日生き延びて

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真正たる音楽の友

外出禁止8日目。そろそろ精神の変化が現れる頃。
こんな時、支えてくれるのは、真の音楽の友です。
物理的に会うことはできぬも、音楽の交流を図り、アイデアを語り、まだ見ぬ先に少しの希望を投げかける。
音楽は最高の恋人で時々愛人、親友で、家族。
フランス語ではCamarade=同志と呼びますが、相互に悶々とする時、いつも励ましあえるそれこそは、かけがいのないBuddyであると確信しました。

車道には孔雀、道には鶏、空にはコマドリにシジュウカラ、海にはイルカの群れ。
人類が自然を植民地にして数百年。
人類様と我が物顔で地や海や山を占領してきた今、
大気はホッとしています。

3月新月のopenradioは生演奏付きです。
閉じ込められた世界からの音楽をどうぞ。
https://www.mixcloud.com/makinakano/2020324-%E6%96%B0%E6%9C%88/

1) Ile de MIyake (maki Nakano)
2) Si la photo est bonne (Barbara)
3) Gottingen (Barbara)
4) Sara (Rokia Traore)
5) Hanter dro duhont’ar ar mane (Maki Nakano)
6) King James (Anderson. Paak)
7) Reachin’2 Much (Anderson. Paak / Lalah Hathaway)

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春迎へ街ブラックアウトになりにけり

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